この世界の(さらにいくつもの)片隅に

2020年01月07日
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傑作と言っていいと思う
85点

こうの史代の原作をアニメ化した「この世界の片隅に」。そこにさらにシーンを追加した長尺版。

この世界の(さらにいくつもの)片隅に



広島から呉にお嫁に行ったすずは、慣れない土地で夫・周作の両親たちとの生活をはじめた。時は第二次世界大戦末期、遠くのことのように感じていた戦争も、だんだんと被害が出るようになっていて……。

こういうのって思い出補正もあってだいたいが「前の方がよかったなぁ」となるから心配していたが、杞憂に終わった。
今回の追加シーンで一番大きいのはリンのシーンだが、それも含めて全体的に淡々とした日常が前作よりも強調して描かれている。
何気ないシーンをしっかりと描くことで、その日常を奪われる戦争の残酷さ、ただ日常を生きようとする人々のたくましさが余計に強烈に輝いて見えてくる。
前作でも感じたその「日常のありがたみ」が、よりはっきりと見えてきたという印象だ。

すごいなぁと思うのは、前作を確実に超えているのに、それが前作を否定することにつながってない点だ。
前作は間違いなく傑作。そして本作はそれを上塗りしてさらに魅力的になった、やはり傑作。
この二作は比べようがない。使われている本編は同じだが、まるで別作品のようにも見える。
どちらもが素晴らしい。正直、観たことのない人には両方を勧める。それぐらいどちらもいい。

こんなにもメッセージ性が強いのに、しっかりエンターテインメントになっているのも素晴らしい。
芸術作品としても観られるほど質が高く、同時に物語や人物造詣もそれに負けていない完成度を見せる。
さらにのんをはじめ、声優さんたちの演技も最高としか言いようがない。

前作が好きだから、と観るのを躊躇っている人はもったいない。
絶対に観に行ったほうがいい。今作も好きになるから。しかも前作も好きなままでいられるから。
これは間違いなく現代アニメーションのたどり着いた最高峰の部類の作品だ。
後々まで語り継がれるレベル。本当に文句なしに素晴らしい。

※ほか、ちょっと。
・リン役の岩井七世がまたいい。凛としていながら儚くて弱々しくもある。いい。
・のんは本当に当たり役だったと思う。彼女の声なしではこの映画は成り立たない。まさに代表作。
・「神は細部に宿る」っていうのを信じたくなる映画だった。
・エンドロールの後にクラウドファンディングの人のリストが流れるが、そこを手書きのリンの物語で見せるのもまた上手い。そしてこれがまたいい。
・前作も泣いてしまいましたが、今作はさらに泣きました。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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