パラサイト 半地下の家族

2020年01月14日
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心が震えました
76点

ポン・ジュノが手掛けたカンヌ・パルムドール受賞作。

パラサイト 半地下の家族



浪人生のギウは父と母と妹と、地下に半分埋まった部屋で、貧しいその日暮らしの生活を送っていた。そんなある日、ギウのもとに願ってもない話が舞い込んでくる。高台にある豪邸で、社長の娘の英語の家庭教師をしないかというのだ。すぐに経歴を詐称して豪邸に向かうギウ。そこで社長夫人の心をつかむことに成功したギウは、もう一人の息子の美術家庭教師に当てがあると社長夫人に語る。そしてギウの紹介で豪邸に現れたのは、妹のギジョンだった……。

ポン・ジュノの映画ってシリアスなシーンにもユーモアをぷっこんてきたりして、そこが苦手だったんだけど、この映画ではユーモアの溢れるシーンはそう描き、シリアスなシーンはちゃんとシリアスに描いていて面白かった。
「パライト(寄生)」というタイトル通り、最初は裕福な家庭に忍び込み取り入り、食い尽くしていく貧乏な家庭の策略が描かれていく。
その様子はコンゲームのようでもあり、サイコパスのようでもあり、ワクワクしつつも気味悪くも思える。
で、きっとこのままいくんだろう、と思ったところで、映画はとんでもない展開を迎える。
え? え? ってなりつつ、気がつくと、とんでもない展開はさらにヒートアップし、すさまじいままラストへ向かう。

この物語自体も面白いのだが、それよりもこの映画がすごいのは貧富の差を残酷なまでに描写しているところだろう。
例えば大雨の描写がそうだ。家が浸水し、避難を余儀なくされる貧乏人たち。一方で、裕福な家族はその雨を「PM2.5を流してくれた雨」として喜んで迎える。裕福な人たちに差別的な意識がない分、その残酷さは余計に強調される。
中でも特に圧倒させられたのは、半地下の臭いがするというシーンだ。
臭いなんてものは自分ではどうしようもない。それが差別されるということは、つまり存在そのものが差別されることにほかならない。
ここでも裕福な人たちは差別的な視点は持っていない。ただ「臭い」と言う。だが、言われるほうにしてみれば、それは圧倒的な差別でしかないだろう。

高台と半地下。裕福と貧乏。純粋無垢と計算高さ。極端に二分された二つの家族の差は、とてもわかりやすい。
わかりやすいだけに、その格差が生む悲劇にはどこにも救いがない。
二つの世界は交わることのない世界であり、悲劇はそれが交わったことで生まれてしまうからだ。

ラストシーンでギウはひとつの希望を見出し、その幻想を夢見る。
しかし、観客はその夢が夢でしかないことを知っている。それもまた悲劇だ。
ユーモア交じりに描かれているし、暗い調子でもないのだが、その実、かなり凹む映画だとも思う。

※ほか、ちょっと。
・昔からトップスターで、いまなおこういう映画でも光を放っているソン・ガンホは、すごい俳優だと思う。
・ドリフかよ! とツッコミたくなるシーンは、単純にばかばかしくておかしい。
・ギジョン役のパク・ソダムが可愛い。性格悪いところも含めて最高に可愛い。
・裕福な家庭にとっても悲劇だったんだよなぁ、と終わってから思った。
・裕福な夫人役のチョ・ヨジョンは美しくて抜けていて、プライドが高くて、素直で、エロくて、役にぴったりだと思った。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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