ザ・ピーナッツバター・ファルコン

2020年02月25日
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観ておきたい一作
74点

ダウン症の子供と人生を諦めた中年男性のロードムービー。

ザ・ピーナッツバター・ファルコン



プロレスラーになりたいという夢を叶えるため施設を脱走したダウン症の青年ザック。彼は、行き先のわからないなか、クビになりヤケになった漁師のタイラーと出会う。二人して南を目指しはじめるザックとタイラー。だが、タイラーは地元の人間に追われていた。一方、ザックを探しに施設からもエレノアが動いていて……。

なんて人間的な優しさに満ちた映画なんだろうと思った。
ザックと出会ったタイラーは彼とこんなやり取りをする。

「僕はダウン症なんだ」
「それがなんだ。それより食料は持ってるか?」
「ないよ」
「じゃあついてくるな」

タイラーはザックをダウン症ということで差別したりはしない。
そして、彼を特別扱いすることもない。
タイラーにとってザックはあくまでも旅の途中で出会った「友達」で、だからこそ二人の空間は最高に居心地がいい。

ザックの周りには良くも悪くも差別が渦巻いている。
「ウスノロ」と蔑む施設の人間。からかう子供たち。
逆に心配して面倒を見てくれるが、それゆえに彼を閉じ込めてしまうエレノア。
彼らの態度に共通しているのは「ザックは異質」という視線だ。

でも、タイラーの目線は違う。彼はただザックという人間と素直にそのまま付き合う。
タイラーのような人は世の中には少ないだろう。でも、この映画にはその少ない人間がちゃんと出てくる。
盲目の黒人も元プロレスラーのソルトウォーターもそうだ。
彼らはザックを特別視しない。それが優しさとしてひしひしと伝わってくる。

エレノアが次第に心変わりしていくのも素敵だった。
映画を観ている間中、この旅がずっと終わらなければいいのに、と思った。
この優しい世界がずっと続いてくれればいいのに、と思った。

でも、旅は終わる。
とてつもない残酷さから、一気に優しさに満ちた形で。

感覚としては「チョコレートドーナツ」を観た時のようだった。
あの映画も人間の優しさに満ちている。ただ、苦しくてつらい現実も突き付けられる。
その点で、この映画は絵空事のようにも見えるかもしれない。夢があって幸せな姿はリアルではないのかもしれない。
それでも、観終わって幸せな気持ちになれる。
いい映画だと思います。

※ほか、ちょっと。
・エレノア役のダコタ・ジョンソンがそこはかとなくなんだけど、なぜかとんでもなくエロい。
・ソルトウォーターのエピソードは反則です。あれは泣きます。
・お兄さんとの過去を露骨に描かないのも上手いなぁと思った。
・ロードムービーとしても十分以上に面白いです。
・僕も魂のきれいな人間になりたい。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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