ミッドサマー

2020年04月08日
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観ておきたい一作
80点

デビュー作「ヘレディタリー/継承」で高い評価を受けたアリ・アスターが再び挑んだホラー映画。

ミッドサマー



両親と妹を自殺で失ったダニーは、失意の中で心を病みはじめていた。そんなダニーを心配した恋人のクリスチャンは、彼女を研究を兼ねた仲間とのスウェーデン旅行に誘う。着いてみると、そこでは白い服を着た村人たちが90年に一度の祝祭をはじめようとしているところだった……。

なんと言うか、言葉を失うっていうのはこういうことなのかと思った。
秘密の宗教を信じている村人たちのタブーに触れてしまったり、麻薬による幻覚でだんだんと感化されていったり、と基本的な物語はとても単純でわかりやすく、まあよくあるホラーなんだけど、そこがあまり意味を持っていないところがすごい。
祝祭の様子はまるでそれが本当にある宗教行事のよう。しかも、明るい怪しさに満ち満ちている。

怪しげな音楽に演出は満載なのに、監督はそこに怖さを用意してこない。
安っぽいホラーだったら、驚かせ系のものが出てくるようなところでも何も出てこない。
怖がらせる気がないんじゃないかと思うぐらいに、ホラー要素がないのだ。それが逆に観ていてどんどんと怖くなる。

女王を決めるために踊り狂うシーンも、厳格なルールの下で行われる食事のシーンも、冷静になれば何でもない、陽の下の明るいワンシーンなのに、観ている間中、怖くて怖くてしょうがなかった。敢えて言うなら画面に不安が溢れてる感じ。
絶対に暗くならない世界、という設定も、またその不安を助長する。

上手いなぁと思ったのは、出だしでその準備を全部終わらせているところだ。
最初のタイトルが出てくるまでの間に監督は、まったく無駄のない人間描写と物語展開で、登場人物たちを見事に理解させてくれる。
特に、主人公のダニーが心に闇を抱えてしまうくだりは秀逸。これがあるがゆえに、その後の祝祭が響いてくるのだろう。

無理やりまとめるなら、ドラッグをやりながら、終わらない悪夢を延々と見続けているような映画と言っていい。
気持ちのいい物ではないのだけれど、悪夢と同じで、強烈に惹きつけてくる何かがあり、目が離せない。
終わった後、目眩でクラクラした。面白いじゃない。すごい。

※ほか、ちょっと。
・「ベニスに死す」の美少年、ビョルン・アンドレセンがとんでもない役で出てきます。
・この映画について、いろんな人がいろんなことを言ってる理由がよくわかりました。
・なんでもないシーンで画面がグニョグニョとうねってたりするのも妙に印象深かったです。
・かなりグロいんだけど、それすらも自然に観てしまう感がある。
・一般的なホラーの要素はほとんどありません。唯一、ラストのダニーの微笑みがそうと言えるかもしれません。
・わけわかんないけど面白い映画を観たいと思ったら、ぜひこれを観てください。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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