セッション

2020年05月14日
0
0
観ておきたい一作
77点

デイミアン・チャゼルの名を一躍有名にした音楽映画。

セッション



ジャズドラマーを目指して音楽学校の大学院に通うアンドリューは、放課後もいつも一人残って練習を積み重ねていた。その姿を見かけた学院最高の指揮者と言われるフレッチャーは、彼の才能を認め、最上位にクラスに彼を引き抜く。喜び勇んで授業に向かうアンドリューだったが、そこで待っていたのはあまりにも厳しい練習だった。血のにじむような努力を重ね、ドラムにすべてを捧げるアンドリュー。彼はようやく認められステージに上がれるようになるが、そこで事故が起こり……。

こんなにも恐ろしい教師がいるだろうか。
音楽にすべてを捧げるだけでなく、生徒にも同等のものを求める。
追い込んで追い込んで、ついていけない者は容赦なく切り捨てる。
すべてが最高の音楽を作り上げるために。

この狂気にも近いフレッチャーをJ・K・シモンズがこれまた狂気的な演技で熱演する。
圧倒的な存在感は、もうただただひれ伏すしかないという感じだ。

映画は基本的に、アンドリューとフレッチャーの対峙になっている。
血が出るまでドラムを叩かせ、ドラムのために彼女とも別れろ、と迫るフレッチャー。
アンドリューはそれに対して、すべて従い、ドラムの腕をみるみると上げていく。
で、ようやくフレッチャーがアンドリューを認めたところで、事件が起こり、フレッチャーはアンドリューを切り捨てる。
たった一つのミスですらフレッチャーは許そうとしないのだ。

一方でフレッチャーも別の理由から舞台から引きずり落されてしまう。
これまでやってきた暴力的な指導が問題視されるのだ。
教師を辞めたフレッチャーは、弱気を見せつつも、また別のバンドで指揮をしている。

この状態でアンドリューとフレッチャーは再会する。
かつてぶつかり合った二人が仲直りをする瞬間。
それはお互いがお互いを認めているからにほかならない。

で、終われば簡単なのだが、そんなことはこの二人には起こらない。
むしろ、ここから第二幕が始まると言ってもいい。

この映画の素晴らしいところは、その対峙をすべて音楽を通して描いてみせているところだ。
音楽に対する練習と音楽に対する暴力的な指導。
それだけではない。演奏される曲自体にもその対峙ははっきりと現れる。
それも音楽をたいして知らない人でもわかるぐらいの緊張感をもってだ。

もともとジャズっていうのは、音楽を通しての会話だったり喧嘩だったりだとよく言われる。
この映画は、それをまさに体現して見せてくれている。
ジャズの掛け合いがそのまま映画になっているようだ。

圧巻は最後に流れる「キャラバン」。
音楽で罵倒されたアンドリューが音楽でもって反撃に挑む。
その迫力に満ちた演奏は、否が応でも興奮と感動を呼ぶ。
圧倒的な演奏で相手をひれ伏せさせてしまう快感もある。
このシーンは見せ方も最高に格好いい。

すごい音楽映画だと思う。

※ほか、ちょっと。
・DVDの特典に元となった短編映画が入っているのだけど、フレッチャーの演技が本編とまったく変わらなくて驚いた。
・実際にこういう先生にあたったら、きついとは思いますよ。
・さり気ないけど、この監督は見せ方もすごい上手いんだよなぁ。あらためてそう思う。
スポンサーサイト



ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

Comment 0

There are no comments yet.