光をくれた人

2020年05月24日
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観ておきたい一作
72点

ある親子の隠された秘密を描いた人間ドラマ。

光をくれた人



戦争から戻ってきたトムは、心に深い傷を負っていて、誰もいない無人島の灯台守を志願する。しかし、島へ渡る前に出会ったイザベルに恋をし、二人は結婚することになった。二人きりの島での生活に満足する夫婦。だが、イザベルは二度も流産をしてしまい、だんだんと心を病んでいった。そんなある日、島に一艘のボートが流れ着く。そこには男性の死体と、生後まだ間もない赤ちゃんの姿が。それを見たイザベルは、男性を埋めて、赤ちゃんを自分の子供として育てたいと言いはじめ……。

とても残酷なんだけど、愛情に満ちた映画だよなぁと思った。
イザベルは赤ちゃんを本当に心の底から愛して大切に育てる。
だから、その愛を知って育ったルーシーも、イザベルを母親として愛している。
トムのことも父親だと信じて、同じように愛している。
彼らの愛情に嘘はまったくない。でも、関係には嘘がある。

映画の中盤辺りには、本当の母親であるハナが出てくる。
ハナの夫が人種差別に苦しみ、赤ちゃんを連れて家を出ていったことも明かされる。
話を聞けば聞くほどに、それがルーシーのことだとイザベルたちもわかってくる。
こうなるともう苦悩しかない。悲しみにくれるハナの姿を見てられない一方で、絶対にルーシーと別れたくないという気持ちもどんどん強くなっていくからだ。
真剣に悩むトムは、ハナにルーシーを返すべきだと考える。
でも、イザベルは決してルーシーと別れたくない、と思う。

トムの考えも、イザベルの考えも、どちらも親としてルーシーを愛しているからこそ出した答えだ。
対するハナも、ルーシーが我が子ではないかと疑い、自分の元で育てたいと切に願う。それもまた母親の愛だ。
三人が三人ともに違う形ではあるものの、ルーシーを愛している。
それがわかるからこそ、観ていてとても切ない気持ちになってくる。

ちょこっとだけネタバレしてしまおう。
これは知ってても映画を観るのに、なんの障害にもならないと思うのでいいだろう。
結局、トムは逮捕され、ルーシーはハナに引き取られ、イザベルは独りになる。
しかも、ルーシーはグレイスという別の名前を与えられることになる。

これは、誰も幸せになれない状態だ。
特にルーシーの様子がたまらなく悲しい。彼女にとって母親はイザベルであり、ハナではない。
だから、彼女は「私はルーシーだ」と言って、幼いながらも家を飛び出したりする。
でも、イザベルの元へは戻れない。この悲しさは尋常じゃない。

ここで終わってしまえば残酷な話になってしまうが、映画はその後もしっかり描いている。
誰も幸せでない状況から、ルーシーにも三人の親にもちゃんと救いがある状況にいたるまでは、ぜひ映画で堪能してほしい。
きっと泣いてしまうと思う。

※ほか、ちょっと。
・悪い人が誰もいないのが、ものすごくきつい。
・疑うハナと、隠そうとするイザベルのパーティーのシーンはかなり怖いです。
・父親と母親というのにも、考えの違いは生まれるのかな、と思ったリもする。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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