老人Z

2020年07月10日
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傑作と言っていいと思う
71点

大友克洋が脚本、メカデザインを、江口寿史がキャラクターデザインを担当したアニメ映画。

老人Z



看護学生の晴子は、日々老人介護のボランティアに励んでいた。そんなある日、厚生省の寺田率いる一群が現れ、彼女が担当している高澤老人を連れ去ってしまう。寺田の話では厚生省主導による、全介護装置のモニターに選ばれたとのこと。いったんは納得しかける晴子だったが、病院宛に高澤老人からのメッセージが届き、老人を施設から救い出そうとする。しかし、計画は失敗。再び、装置ごと高澤老人は連れ去られてしまう。そしてその晩、装置が暴走をはじめ……。

日常的なところから始まって、SFになり、ドタバタ喜劇になり、バトルになり、感動になり、といった展開がとにかく秀逸。
90分弱の作品とは思えないほど、いろいろなものが詰め込まれているのに、それが気にならないほどバランスがいい。
ついつい引き込まれて観ているうちに、いつの間にか魅入っているという感じだ。

また、1991年の映画ながら、題材や設定がいま観てもまったく色あせていないのにも驚いた。
高齢化社会にどう対応していくか、という社会的問題。
AIによる体調管理、オンライン通信、VR体験といった技術的問題。
国と民間とどちからが介護業界を担っていくのかという政治的な問題。
などなど、いまだに解決されていない問題が、この時代にリアルに提示されている。
逆を言えば、30年経っても、高齢化社会への対応はまったく進んでいない。
そういう意味では、考えさせられる映画でもある。

アニメとしての出来も素晴らしい。
大友克洋特有のごちゃごちゃしたメカによるバトルは一見の価値があるし、江口寿史のキャラたちが動いているのも魅力的だ。
その両方が上手いこと絡んでいるのもいい。ここら辺はさりげなくやってるけど、相当すごいことだと思う。
ちなみに、スタッフロールには、神山健治、今敏、黄瀬和哉、鶴巻和哉といった、いまのアニメ界の中心人物たちがずらりと並んでいてビビる。

テーマも独特なら、アニメとしても異色。
観ておきたい一作だと思った。

※ほか、ちょっと。
・自己増殖するAIというテーマに、大友克洋の絵がぴったり合ってる。
・国の隠れた陰謀計画と個人の対立、という構図が「ファイヤー・ボール」や「AKIRA」と同じなのも興味深い。
・寺田というキャラがとてもいい。最後、格好いいシーンが入るのもいい。
・ラストだけはどうかと思った。あれは本当、どうなんだろう。
・江口寿史の絵はいいね。久しぶりに「ストップ!! ひばりくん!」を観たくなった。
・パンツが見えそうで見えない、というのも絶妙。
・お爺ちゃんハッカー三人組には夢がある。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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