#ハンド全力

2020年08月01日
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まぁまぁ面白い
58点

実験的な作品を次々と送り出している松居大悟の青春映画。

#ハンド全力



三年前の熊本地震の被災者でいまも仮設住宅で暮らす高校生のマサオは、退屈な毎日を送っていた。趣味はインスタに写真をアップすること。しかし、いいねは少しも集まらない。そんなある日、昔やっていたハンドボールの写真をアップしたところ、一気にいいねがついた。気をよくしたマサオは、さらに友だちの岡本と協力し「#ハンド全力」を付けて新しい写真をアップし、フォロワーを爆発的に増やしていく。そこで、二人は話を持ち掛けられた男子ハンドボール部に、体験として入部することにするのだが……。

アイデアは面白いし、いまどきならこういうのもあり得るなとも思った。
「スマホがないと死んじゃう」と語るマサオは、ごくごく普通の高校生の姿だろう。
彼らがハンドホール部に入ってからも、練習をまったくしないで、ひたすら写真を撮る姿も、皮肉が効いてて面白い。

ただ、この流れで行ったら絶対に熱い部活物に変わるだろうと感じて、その通りになってしまったのがなんとも。
いや、それ自体は想定内だとしても別に悪いことでもなんでもない。でも、部活物としては足りない部分が多過ぎるのだ。
なかでも一番大きいのは、ハンドボールについての説明や描写があまりにも少なすぎる点だろう。

ハンドボール好きしか観ない、という前提で作られているのならともかく、そうでないならもっとハンドボールをわかりやすく描かないと見ているほうは全然ピンとこない。
例えば僕なんかはハンドボールが一チーム何人なのかも知らない。
だから、徐々にメンバーが増えていって「これで試合ができる!」となっても、は?となってしまう。
はじめのほうに「あと何人足らない……」というシーンを入れるだけで解決できるのに、それをやってないのはもったいなさすぎる。

ポジションや時間、練習なんかもそう。
全体的にハンドボール描写が少ないのは、部活物としては致命的だと感じた。

じゃあ部活物として見なかったらどうなるのか。
その場合、ネットと現実を描いた映画になると思うのだけど、そっちでもいまひとつな感は否めない。
ネットじゃなくて現実を大切にしようよ、というメッセージは、どうにもいまさらな感じがする。
応援の意味とか、人とつながることの意味、とかには考えさせられる点も多いけど、それを上手く描けているとは思えない。

面白くなりそうな部分がたくさんあっただけに、とてももったいない気分になった。
やっぱり部活物として徹底して作ったほうがよかったと思うなぁ。

と、ここまで否定的に書いてきたけど、役者さんたちの演技はみんなとてもよかった。
なかでも岡本役の醍醐虎汰朗と林田役の岩本晟夢は特に光っている。
彼らが演じる、やさしくて嫌味がない岡本も、喧嘩っ早いのに気をつかえる林田もとても魅力的だ。
芋生悠が演じた七尾の、どこか純朴で素人っぽい姿も印象に残る。
蒔田彩珠の安定した上手さは、もう言うまでもない。
だからこそ、それぞれの人物を生かした部活物にすればいいのに、ともう一度言っておきたい。

※ほか、ちょっと。
・マネージャーの橋向さんがかわいい。HKTの子らしい。田中美久さん、かわいい。
・期待を裏切られた悔しさと軽蔑を込めた、黒澤の「つまらんね」のひと言は素晴らしかった。
・「パンツ見えるぞー」とはしゃぐ姿は、男子高校生のリアルだと感じた。
・こども店長がまさかこんなに大きくしゅっとなっているとは。驚きました。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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