紀子の食卓

2014年03月27日
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おススメの一本
90点

永遠のアマチュア監督、園子温の描く「自殺サークル」サイドストーリー。

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田舎町に住む女子高生の紀子はネットで知り合った上野駅54という女性に憧れ、東京へ出たいという思いを強くする。だが、父親は猛反対。そこで紀子は偶然起こった停電の隙に家出を決行し、勝手に東京へと旅立ってしまう。やがて、紀子は東京で上野駅54こと久美子と出会うことに成功する。そして、紀子は久美子の言うままにレンタル家族の仕事をはじめ……。

園子温の映画は苦手です。
いままでに一度も「これはいい」と思ったことがないくらいに苦手です。
あの、現実離れした設定をアマチュアっぽく撮るやり方が苦手。
独自の世界観を理屈っぽい説明で押し付けてくるのが苦手。
なので、これも正直まったく期待しないで観ました。
結果。
ゾクゾクしました。

はじめコミカルにはじまったストーリーは徐々にシリアスに変わっていきます。まずは、その流れの上手さに舌を巻きました。さらに、この映画は章ごとに主人公を変えているのですが、それによって一方的な世界観になっていないのがたまりませんでした。
章立ては最後の章でその主人公たち全員を揃えるという構成になっています。これも、自然と気分を盛り上げてくれてとても効果的です。

実際の親子が仲のいい親子を仕事として演じるという矛盾。そこに溢れてきてしまう、どうしようもない気持ち。怖さ。弱さ。いろんな思いが最後の章でぶつかり合います。そこがまたいい。

映画としては説明がかなり過剰なものです。各章の主人公たちはやたらとモノローグで語りますし、台詞も結構語ります。でも、あまりに語られる分、かえって語られないものを探りたくなる気持ちになのです。
最後の章はそういう部分を受けて、あまり語らない作りになっています。これもしびれました。

つぐみをはじめ、光石研や吹石一恵、吉高由里子ら癖の強い俳優人を集めたのも成功しています。
今までに観たことのない園子温の世界だと思いました。
園子温、見直した。
文句なしで傑作です。

※ほか、いろいろ。
・自殺サークルの後日談ということになっていますが、自殺サークルを観てなくても十分に楽しめます。
・予告編はちょっと嘘です。どうしても残虐なシーンが目につきますが、そういう映画ではありません。
・吉高由里子が抜群にいい。これまでも彼女の出演作はいいなぁと思って観ていましたが、これが一番よかったです。
・いままで観た中では園子温の最高傑作だと思います。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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