星を追う子ども

2014年06月19日
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アニメ好きならおススメ
60点

ポスト宮崎駿とも呼ばれるアニメ作家、新海誠の最新長編アニメ映画。(2011年5月現在)

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母親と二人暮らしの小学生アスナは、放課後、自分だけのお気に入りの場所である高台で鉱石ラジオを聴くのを毎日の楽しみにしていた。そんなある日、アスナはアガルタから来たという少年シュンと出会う。だが、翌日、シュンは死体で発見された。シュンに淡い恋心を抱いていたアスナはその事実が信じられず、新しい担任教師にアガルタについて聞きだし、もう一度彼に会いたいと高台に向かう。そして彼女はそこでシュンと瓜二つの少年シンと出会う……。

内容とは関係なく、オリジナリティってなんだろう、ということをイヤでも考えさせられる映画でした。

この映画にはこれまでの新海誠の映画にあった要素がほとんどありません。代わりにあるのは「宮崎駿」の雰囲気です。
キャラクターもそうだし、物語も世界観も、画面さえも、すべてが「宮崎駿」の雰囲気で形作られています。

「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」と「となりのトトロ」と「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」と「崖の上のポニョ」を全部足してその数で割ったら、こんな映画になるんじゃないか、と思うくらいに「宮崎駿」なのです。

今回は珍しくパンフレットを買い、いろいろと読んでみてわかったのですが、新海誠さんはこの映画で「普遍的な少年少女冒険活劇」を描きたく、あえてこういうふうにしたのだそうです。
でも、その結果が「宮崎駿」ふうになってしまうのだとしたら、それは失敗なんじゃないか、という気がしてなりません。

特別、この映画が面白くないというわけではないのです。
普通に観られるし、普通に楽しめる映画だとは思うのです。
でも、この映画を新海誠が撮る意味があるのか、と思うと疑問なのです。

前作「秒速5センチメートル」を観ていないので何とも言えませんが、少なくともその前の作品「雲の向こう、約束の場所」まで、新海誠は「確かな」オリジナリティを持っていました。
それらの映画には、この人でなければ描けない世界、人物、物語、画が間違いなくありました。

それは一人で全部やることをやめた、ということとも関係があるのかもしれません。もしかしたら、一歩先に進んだということなのかもしれません。
でも、僕は新海誠には「新海誠」であって欲しかった、とこの映画を観て強く思ってしまいました。

現実と密着した世界、ちょっと崩れたキャラクター、そして何より現実とはまるで違うのに圧倒的な迫力で迫ってくる風景。
かつての新海誠の映画にあったそれらは、この映画にある、ファンタジックで、ジブリ的で、いかにもリアルな風景よりも、よっぽどすごいものだったと思うからです。

とはいえ、こういう批判は、監督にとってのターニング・ポイントには付き物です。
問題はこの後、新海誠がどういうふうに進んでいくのかという点にあるのだと思います。

これまでの新海誠の映画が好きな人にはあまりおススメできません。
が、これからの新海誠を見てみたい人にはおススメします。
あと、単純にアニメ映画を楽しみたい人にもおススメします。
でも、ジブリの新作が楽しみという人にはおススメしません。

僕はこの映画を評価しませんが、次回作は楽しみにしています。

※ほか、いろいろ。
・天門の音楽だけは残りました。これはよかったです。
・後半、一気に勢いを増していく部分は惹かれました。
・主題歌がとても素敵です。歌詞もいいなぁと素直に思いました。
・この人にはやっぱり「一人」で撮ってもらいたい。こういうふうに思うのってこの人と塚本晋也ぐらいです。
・予告編が「これまでの新海誠」ふうなので、余計に違和感があったというのもあるかもしれません。
・ベテランの宮崎駿が「オリジナリティ」を模索する一方で、新海誠が「普遍性」を重視している、というのは事実としては面白いですが。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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