戦場でワルツを

2014年08月13日
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傑作と言っていいと思う
70点

アリ・フォルマンが脚本・監督したドキュメンタリーアニメ作品。

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友人から20年前の戦争の夢を見るようになったという相談を受けた映画監督のフォルマンは、自身にその頃の記憶がないことに気づき愕然とする。彼が覚えているのはただひとつ、フラッシュバックで蘇った「虐殺の日の海辺のシーン」のみだったのだ。そこで彼は、シーンに登場する昔の友人や、かつての仲間、上司、ジャーナリストらを訪ね、当時の話を聞きながら、記憶を取り戻そうとするのだが……。

イスラエルにアニメ映画があるということに単純に驚きました。
しかも、この映画、絵柄や動きがものすごく独特なのです。
まるでアメコミのイラストのような線の太い「画」が、ある種繊細に、またある種不自然に動く様子は、日本のアニメではまず見ません。

また、ドキュメンタリーをアニメで撮るというのも日本ではほとんどないことなので、これも同様に衝撃的でした(小中学校や公共施設で流される啓蒙アニメや施設説明のアニメは除きます)。

内容に関しては、1980年代にあったイスラエル軍が絡んだレバノン内戦の事実を知ってるかどうかでかなり受ける印象が変わると思います。
僕はこの戦争についてほとんど知識を持っていなかったので、正直なところ、よくわからないと感じる部分も多かったです。

ただ、戦争の残酷さ、日常が戦場であるという奇妙さなどは上手く描けていると思います。当時を振り返って語る人たちの「言葉」から描き出される戦争の様子は、淡々としているだけにとてもリアルです。実際、戦場ではこんな風に唐突に訪れる死が多くあったんだと思います。
また、静かな音楽ややけに明るい音楽を使ったりしているのも上手いなぁと思いました。

極めつけは主人公の記憶が戻るラストシーン。
ここには、なぜこの映画がアニメでなければならなかったのかという意味がすべて凝縮されています。
と同時に、否が応にも戦争についてリアルに現実を突きつけられるシーンにもなっています。
反則スレスレではありますが、映画史上に残る名シーンになっていると僕は感じました。

どこの立場にも立たず、純粋に「自分」というフィルターを通しての現実を語る、という点で、アニメではありますが、ドキュメンタリーとしても立派に成立しています。

いろんな意味で考えさせられる映画です。

※ほか、ちょっと。
・原語がヘブライ語というのも驚きでした。
・受け付けるか受け付けないかは別として、戦争についてきちんと考えさせられる映画ではあります。
・世界にはまだまだ可能性を秘めた映画が沢山あるんだろうなぁと感じさせられる映画でもありました。
・絵柄とテンポがちょっと受けつけなかったのでこの点にしましたが、この映画を評価する人の気持ちもよくわかります。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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