宮本から君へ

2019年10月01日
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おススメの一本
75点

新井英樹の漫画をテレビ東京がドラマ化。その続編にあたる劇場版。

宮本から君へ




不器用で真っすぐに生きることしかできない宮本浩は、中野靖子という女性と恋に落ちる。だが、靖子は元恋人と別れる理由として宮本を利用したと告白する。「それでもいい」と抱きしめる宮本に心を許す靖子。やがて二人は恋人として暮らすようになる。しかし、ある日、宮本の寝ているすぐそばで、宮本の取り引き先の相手の息子に靖子がレイプされるという事件が起こってしまう。さらに、靖子の妊娠が発覚。子供の父親が元恋人か宮本かわからないまま、二人は距離を置くことになる。そんななか、靖子はすでに母になることを決意していた。一方、自分自身がどうしても許せない宮本は、圧倒的な強さを誇るレイプした男のもとに一世一代の喧嘩をしかけるのだが……。

テレビドラマ版の「宮本から君へ」の出来がとても素晴らしく、映画化と聞いた時には「ああ、流行りのやり口か」とちょっとがっかりもしていた。
が、映画を観て納得した。確かにこれは映画でしかできない。
テレビドラマが「会社編」としたら、こちらは「結婚編」。キャストも製作陣もほぼ同じだが、作り手も「これは映画である」ということは強く意識しているようで、ドラマを見ていなくても映画単体として十分に楽しめる。

この映画の魅力は何をおいても「熱さ」に尽きる。矛盾を抱えることをよしとせず、ひたすら不器用に真っすぐに突き進む宮本を、池松壮亮が原作通りというか、むしろ原作さえ超えるほどの熱量を持って生き生きと演じる。その姿はとてつもなくみっともないが格好いい。
そして、もうひとつの「熱さ」を担うのが恋人役の蒼井優である。彼女に関しては出てきた当初にはすごいと思っていたが、失礼ながら最近は「ちょっと完成しちゃった女優さん」というイメージで見ていた。それが思いっきりひっくり返された。
女(女性ではなくオンナ)の持つ、弱さ、かわいさ、狡さ、はかなさ、強さ、したたかさ、とかいったそういうあらゆる面を、彼女は演技の引き出しを全部引っ張り出して、これでもかというぐらいに見せつけてくる。これまた熱い。

きれいな青春映画が溢れる中で、この汚れて熱い青春はなんと眩しいことか。
人間なんてみんな汚いんだよ、でも、汚くても生きていくし、それでいいんだよ、というメッセージが映画全体からひしひしと伝わってくる。
「二人で幸せになろうなんてケチなことは言わねえ。ぜってえ俺が幸せにしてやる!」という宮本の台詞に、僕は心打たれた。
子どもを産む覚悟を決め「わたしは命2つ持って生きてんだ。あんたには負けないよ」と凛として言い放つ靖子の姿に、やはり打たれた。

すごい熱量の映画なので覚悟して観たほうがいい。その覚悟の分はきっと満足できる。

※ほか、ちょっと。
・テレビ版を見ていた人だけわかるちょっとしたおまけ要素もある。すごくさりげなく出てくるのでこれはこれはありだと思う。
・池松壮亮と蒼井優は「斬、」でやはり恋仲として共演しているが、その雰囲気ともまったく違う。「斬、」もおススメなので、気になった人は両方観てほしい。
・結構グロかったり、暴力的だったりするシーンも多いので、そういうのが苦手な人は気をつけてください。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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