空の青さを知る人よ

2019年10月12日
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おススメの一本
70点

あの花などで知られる超平和バスターズ原作のオリジナルアニメ映画。

空の青さを知る人よ



両親を交通事故で失ったあかねとあおいの姉妹は、田舎町で二人で生活していた。あかねが市役所勤めで忙しい中、高校卒業を目前に控えたあおいは、毎日ベースを奏でながら「東京で一人暮らしをはじめる」ことを決意していた。そんなある日、あおいの前にあかねのかつての恋人、しんのが13年前の姿で現れる。一方、町おこしのためのイベントであかねたちは有名演歌歌手を呼ぶのだが、そのバックバンドのメンバーに現在の慎之介がいて……。

話は丁寧にゆっくりとわかりやすく進むのだけれど、どこに視点を置くかで物語の持つ意味が全然変わってくるので、その辺が観ていて最初、戸惑った。
基本のあおいの視点で観るなら、姉と恋人を取り合う関係になって、どう選択するか悩む話がメインになる。
あかねの視点で観るなら、ひねくれてしまったかつての恋人ときらきら輝くかつての恋人の二人と出会いながら、自分の気持ちに気づかされる話になる。
しんのの視点は将来自分がそうなるであろう、夢破れた姿を前に、どう未来を選択するかの話。
慎之介の視点は、夢に満ち溢れていたかつての自分を見つけて、もう一度再起を決意する話。
わかりやすいようでとても複雑。

僕は最終的には慎之介の視点で映画を観ていたような気がする。そこに一番共感できた。
この映画の主人公はたぶんあおいではなくて、あかねと慎之介なんだと思う。
あおいは悩んだり苦しんだりするけれど、それはじつはあかねと慎之介にはほとんど影響を与えていなくて、結局彼らは彼らの気持ちにしたがって結論を出す。
主人公がいるのに、主人公が不在の感じがするのはそのためだろう。

後半、彼らの関係が交わりはじめてからは、怒涛のごとく一気に物語が進む。
ここら辺のスピード感は気持ちがいい。主題歌が入るタイミングも絶妙だと思った。
若い人が観たらどうなのかはわからないけど、おっさんが観るかぎり、あまりにもいい人すぎるあかねが気の毒でしかたなくなり、キラキラと輝くしんのが眩しすぎて直視できなくなる。
とても繊細な映画だ。

ほか、ちょっと。
・宣伝戦略的には間違ったよなぁと思う。主題歌はじつは映画の中でも重要な意味を持つ歌で、だからこそ宣伝では使わないほうがよかった。あの曲をまったく知らずに映画を観ていたら、たぶん、曲が流れたところでグッときたと思う。残念。
・吉岡里帆、吉沢亮、若山詩音は本当に適役。この人だったらこの声しかないってぐらい似合っていた。
・超平和バスターズの作品だからといって、あんまり「泣ける」を期待すると肩透かしを食らわせられるのでご注意を。
・エンディングは賛否あるような気がする。個人的にはそれはなしかなぁと思った。
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ひこくろ
Posted by ひこくろ
フリーでライターをしています。
有名人に会えるとワクワクしてしまうミーハーです。
1000本分の映画をぶった斬ってしまったので、これからはおススメの映画が1000本分溜まるまでやろうと思っています。

※おススメな映画があったらお気軽に教えてください。

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